三章・呪いの期限

3/7
前へ
/23ページ
次へ
「どういうことなんですか?」 僕は二人だけになりそう聞くと、奥さんは書斎を見てくださいと言って案内した。奥の部屋の夫専用の書斎。そこが自殺現場である。 その書斎に入るとすぐに本棚が壁全面にあり、その一角にオカルト的な呪いの書物とパラコート殺人事件に関する資料が並んでいた。 別の棚には旧ボトルのコーラ・オロナミンC・リアルゴールド・缶コーヒーなどが置いてあり、パネルボードに当時の事件の記事が貼ってあった。 「夫はこの過去の事件に取り憑かれていたのです」 僕が呆然としてそれを見ていると奥さんはそう言った。別の本棚には作家のハウツー本や推理作家の本もあり、先輩が書き溜めた原稿も置いてあった。 「作家を目指していたんですか?そんなこと一言も言ってなかったけど」 「犯人探しをしてました。最初の犠牲者、和歌山に釣りに出かける途中、国道沿いの自販機で缶コーヒーとオロナミンCを間違えて2本も買ってしまった父は、病院に搬送されそのまま心不全で死んでしまったそうです」 「まさか、それが先輩の父親だったんですか?」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加