四章・呪いの結末

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「しかしなんでそんな話をするんだね?」 僕はもちろん呪いを解くためだとは言わなかった。 あの奥さんの嘘を暴きたかったのである。 「田仲さんはパラコートを飲んで死んだんです」 「そんな気がしたよ。除草剤入りのコーヒーを俺に飲ませようとしたんだからな」 「田仲先輩がそんな事をするとは信じられません」 僕は書斎で見た書物や壁のパネルのパラコート事件の記事や旧ボトルの陳列棚などを思い出していた。 そして写メで見せられた、緑色の液体を吐いて死んだ先輩の無残な姿。それが悪夢のように頭の中に蘇ってきた。 「すいません。変なこと話してしまって」 「いや、いいんだ。早く帰りたまえ。顔色が悪いぞ」 そう言われた時、僕の顔色は緑色に変色しているのではないかと憂鬱になった。
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