一章・真夜中の自販機

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「なんで缶ジュースがプルタブ式になったか知ってるか?」 「便利だからでしょ」 「馬鹿か。1958年に起こったパラコート事件のせいなんだよ」 (現在ではプルタブ式から、ステイオンタブ式になってフタが取れないようになっている。) 先輩の話では、当時ジュースはビン詰めしかなく、そのフタは未開封かはっきりとは見分けがつかなった。 その盲点を利用した犯人はパラコートという除草剤をビンに混入して、自販機の受け取り口に入れて置いたのである。 買った者は一本得したと思って持って帰る。その心理を利用した犯罪である。 「死者12人。犯人は捕まらず、迷宮入りになった」 「怖いですね。でも今の自販機は安全でしょ」 「ところがだ。その犯人は去年自殺したらしいんだ。そして悪霊となり、毒入りのドリンクを自販機に仕込んでいる。今も無差別殺人を繰り返そうとしているのさ」
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