二章・毒のドリンク

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僕は呆然として自分の席に戻った。 先輩が昨夜都市伝説の話をしたのは会社でそんな事件があったからだ。 「恐ろしい都市伝説を教えてやる」 先輩は呪いの自販機で買った缶コーヒーを吉田部長に渡したんだ。 もちろん、それに本当に毒が入っているとは思ってなかった。 冗談半分で飲ませてみようしたら、大事件に発展してしまった。 僕はあのゾクゾクとした真夜中の通りでの恐怖体験を思い出していた。 立ち去ろうとした背後で、自販機の電光掲示板が点滅してコロンと飲料物を吐き出した。 あれが毒入りドリンクだったかは不明だが。 きっと先輩はそれと同じようなシチュエーションになり、引き返してそれを取り出して持ち帰ったんだ。 吉田部長のデスクにあった缶を調べてみれば、それが完全に密封された状態だったと分かるだろう。 何故なら、その毒は呪いで混入されたからだ。
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