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「素晴らしいなウォラーレ」
師匠は、僕の初めての作品をつまみ上げた。
「惚れ惚れするような人参の文鎮だ」
「剣のつもりだったんです」
「それはともかく、まさか最初から出来るとは思わなかったな」
「師匠がやれって」
「記念すべき初めての作品だから持ってろ。一度加工した物は二度と他の形にはならないことは覚えておけ。それは銀だからまだ良いけどな。稀少な貴金属ほど手に入らないから、充分に熟達しないと先には進めないぞ」
「師匠、それより本当の呪文と手順を教えて下さい」
「魔法鍛冶ってのは頭の中でどれだけの物を描けるかなんだよ。大学じゃ精密な設計図と手順書があるらしいけどな」
「それを教えて下さいって言ってるんです」
「知るわけがない。俺はモグリだからな」
師匠は堂々と胸を張って答えた。
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