僕が辿りついたのはお気に入りのこの店

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「ウォラーレ、お前魔法鍛冶師にとって何が必要かわかるか」 師匠はいつものように唐突に切り出した。 「え?努力と根気です」 僕の場合、師匠の気まぐれに耐えるための。 「そんなもの洗いざらい捨てろ。ハッタリと押し出しだよ」 師匠と僕は、数年の間モートリア大陸を縦横無尽に旅していた。 師匠は、意外なほどに街中が好きだった。 市場や商店街ともなると、イキイキとしているのがわかる。 野菜売りのおばあちゃんと話し込んだり、職人さんとみると熱心に質問をする。 「頑固で無口も良いけどな、頭の中は柔らかくしとくんだ。どこの街に行っても、何事にも興味を持って沢山お気に入りの店を作るんだ」 都会に行く度に、立派な店構えの魔道具屋が何軒も建ち並んでいて圧倒された。 師匠は、全く怯む様子もなくそんな店へ入っていく。 店先で入店を断られることもある。 山賊の親玉みたいな外見の師匠だから仕方がないが、僕もその子分だと思われているのだろう。 できれば離れて歩きたかった。
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