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「あいつは昔から美しいものが好きだったんだ」
はあ、それでお姉さんを、と思った。
見たことはないが、海里の姉だから、美人に決まっている。
「服も好きだったから、今の仕事も楽しいんだろうが。
……男の店長でもいいだろうにな」
そう言い、海里は溜息をつく。
「姉は姉で、私には私の言い分がある、とか言ってるしな。
俺は板挟みで大変なんだよ」
おっと、ワインが温もるな、と手にしていたワインをテーブルに下ろしていた。
いや、温もるどころか、さっき逆さにして、凶器にしてましたけど……。
「食べに出てもいいんだが。
此処で食べるのもいいかなと思って、一応買ってきた」
と言う。
紙袋を持っていると思ったら、中身は老舗の料亭のお弁当だった。
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