カフェ店員のやんごとなき事情

6/64
前へ
/511ページ
次へ
 あまりは、笑顔を作って振り返った。  その男、犬塚海里(いぬづか かいり)は、真っ直ぐ自分を見、言ってきた。 「何故、こんなところに居る? 南条あまり」  に、二度も名前を繰り返さないでください、と思いながら、あまりは笑顔のまま固まっていた。  海里は自分を見ている。  マスターたちも、なんとなくこちらを見ている。  仕方ない。  あまりは笑顔のまま言ってみた。 「バ、バイトですー……」 「何故、お前がバイトなんぞする必要がある、南条家のお嬢様」
/511ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5811人が本棚に入れています
本棚に追加