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大人は夢を持てない。そう悟ったのはいつだっただろうか。
凍った空気。
かじかんだ手のひら。
気が付けばその手の指先は赤くしもやけで凍っていた。
暖まる場所など僕には知らない。
隣で笑う親子。
薄汚い自分には気づかず過ぎていく通行人。
どれもこれも自分には無縁のものばっか。
「はは…」
笑ってしまう。
いつだったか。友達100人作りましょうと言っていた世の中は。どこだったか。人を見た目で差別してはいけませんと言っていたといっていた場所は。
お前もお前もお前も。
同じ小さい頃環境で同じように育ってきた人たちはみんな、僕を見ないように去っていく。
社会の異端児『僕』。
同じように育ってきて、
同じように「義務教育」というレールの上を歩いてきて。
同じように育ってきて。
何が足りなかったのかと自問自答する。
みんな僕と同じく義務教育を受けてきたはずだ。
なんで…
(なんで、こうも違うんだよ…)
ぽつりと吐いた言葉は足元の雪に消えてなくなっていった。
多分僕らに足りなかったのは愛情。
それを悟るのはまだ先の話…。
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