幸福の電話

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幸福の電話

 真っ暗な部屋に帰ると、留守番電話がピカピカと、メッセージがあることを伝えていた。  転職して、3ヶ月。実家から離れ、スマホがあれば自宅電話はいらないか、とも思ったが。 年老いた両親が、携帯電話で電話をかけることに未だ慣れておらず、両親のためだけに電話線を引いた。  ところが、かかってくる電話の9割はセールスで、残り1割は間違い電話だった。  こちらの配慮など、無駄だったようで、両親は嬉々としてスマホに電話をかけてくる。最近ではラインも始めた。  ネクタイをはずしながら、どうせ、セールスかアンケートの自動音声だろうと思いつつも、留守電の再生ボタンを押す。意外なことに、メッセージはそのどちらでもなかった。 「これは、不幸の電話です。このメッセージを聞いたら、一週間以内に10人の人に同じメッセージを送ってください。そうしないと、あなたに不幸がおとずれます。……あの。……おかえりなさい。  ぴー  ゴゴロクジゴジュウヨンプン デス 」  ワイシャツのボタンをはずしていた手を止め、思わず、聞き入ってしまった。     
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