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扉の前に立った僕は、そこでしばらく思い悩む。部屋中を探していた時にも見てはいたが、この扉には、どうした見ても大きな問題があると言わざるを得ない。それは……。
「ドアノブって、どこだ?」
その扉は、蔦が絡まりあった壁のような存在だった。いや、そもそも扉かどうかすら怪しいものだが、これ以外に、外に出る場所らしいものは見当たらない。
「ふぬぬぬっ、ぐぬーっ」
普通に押しても開かない。押してもダメなら引いてみろの原理で引いても同じ。もしや、スライドするタイプなのだろうかと思って左右に引っ張っても、びくともしない。どこを触っても、ドアノブらしきものはなく、全く開いてくれる様子はない。
「……これ、鍵がかかってるとか?」
そうだとするなら、説明がつく。こんなに必死になっても動かないというなら、そういうことだろう。もしくは……。
「これがフェイクで、扉は別にあるとか?」
考えられるのはきっとそのくらい。ただ、扉が別にあるという可能性は、できることならあってほしくない。壁から床まで叩いて探し回るのは、さすがに勘弁してほしいところだ。
「うーん、あっ、そういえば、さっきあの本に『ベッドを調べた』とか書いてあったよな」
そうすると、もしかしたら、『扉を調べた』という言葉が更新されているかもしれない。もし、更新されていたら、あれは扉で間違いないということになる。
善は急げとばかりに、僕は早速引き返し、『冒険の書』を見てみる。
『扉を調べた』
そこには、確かにその文言があった。
「よっし、これで、あれが扉なのは間違いないってことになるな。となると、鍵がかかってるのかぁ」
あの蔦が絡まった壁のような存在が扉であるならば、真っ当に考えて、鍵がかかっているということになるだろう。せっかく外に出られるかと思ったのに、監禁されているとなると辛い。
「はぁ……どうなるのかな、僕」
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