目覚め

7/8

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
 扉の前に立った僕は、そこでしばらく思い悩む。部屋中を探していた時にも見てはいたが、この扉には、どうした見ても大きな問題があると言わざるを得ない。それは……。 「ドアノブって、どこだ?」  その扉は、蔦が絡まりあった壁のような存在だった。いや、そもそも扉かどうかすら怪しいものだが、これ以外に、外に出る場所らしいものは見当たらない。 「ふぬぬぬっ、ぐぬーっ」  普通に押しても開かない。押してもダメなら引いてみろの原理で引いても同じ。もしや、スライドするタイプなのだろうかと思って左右に引っ張っても、びくともしない。どこを触っても、ドアノブらしきものはなく、全く開いてくれる様子はない。 「……これ、鍵がかかってるとか?」  そうだとするなら、説明がつく。こんなに必死になっても動かないというなら、そういうことだろう。もしくは……。 「これがフェイクで、扉は別にあるとか?」  考えられるのはきっとそのくらい。ただ、扉が別にあるという可能性は、できることならあってほしくない。壁から床まで叩いて探し回るのは、さすがに勘弁してほしいところだ。 「うーん、あっ、そういえば、さっきあの本に『ベッドを調べた』とか書いてあったよな」  そうすると、もしかしたら、『扉を調べた』という言葉が更新されているかもしれない。もし、更新されていたら、あれは扉で間違いないということになる。  善は急げとばかりに、僕は早速引き返し、『冒険の書』を見てみる。 『扉を調べた』  そこには、確かにその文言があった。 「よっし、これで、あれが扉なのは間違いないってことになるな。となると、鍵がかかってるのかぁ」  あの蔦が絡まった壁のような存在が扉であるならば、真っ当に考えて、鍵がかかっているということになるだろう。せっかく外に出られるかと思ったのに、監禁されているとなると辛い。 「はぁ……どうなるのかな、僕」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加