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11  この人が父上、国王アレクサス・モント・ダーラム三世。  ノアはローランディアの父上が教えてくれたとおリ、深く頭を下げた。 「ノアです。父上」  王は持っていた杖で床をダン!と突き、ノアは飛び上がった。 「異国の作法を使うな!礼儀知らずめ!」  忌々し気に吐き捨てる。 「魔なしの国で育った魔なしの王子か。  これを後援すると?ポルターク伯」 「は。  魔力なしと診断されたのは、ごく幼い時。  思春期に突然発動出来た例もございますれば。  以前は黒い眼だったと記録してありますが、この目をご覧下さいませ」 「ふん、良かろう。  学園に送ることを許可する」 「ありがたき幸せにございます」  伯爵はノアに目配せして、右手を左胸にあて、左手を拡げて優雅に頭を下げた。  あわてて、ぎこちなく真似をする、ノア。  顔を上げた時、国王はすでに歩き出していた。 「三か月、猶予をやろう。魔力が発動すれば、良し。魔なしの息子には興味を持てぬ」  冷たい言葉を、言い放って。
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