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4  ひと月たった。  母の乳もうまいが、従者の人族が皿で出してくれる食べ物も素敵だ。  べちゃべちゃで食べにくいことを除けば。  母の乳首は俺の口にあった大きさで、含めば舌がくるりと巻いて、しごくだけで乳があふれて来るんだが。  平たいものに入った食べ物は舌で舐めると端に寄っちまう。吸い込もうとすれば鼻に入る。  はやくすきっ腹に収めたいのに、慌てると足を突っ込んで皿をひっくり返したり、中に座り込んでしまう羽目になる。  もう、イライラが募るばかり。  しかし、何か物足りない。  何か。  なんだっけ。  何かとても大切なもの。  腹がくちくなったので、違ったものを試してみるか。  寝床の布。うん、噛みごこちは悪くない。  木の板。ちょっと固いが噛みでがあるな。  これは。  うん、歯ごたえと言い、固さと匂いと言い、いいじゃん、これ。  おまけに動くし、面白いぞ。  求めるものとは違った気がするけど、まあいい、これで我慢するか。  と、一心に噛んでいたら、いきなり首筋を掴まれた。 「おらの靴を噛むんじゃねぇ!」  あ、中身が入ってた?
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