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もう一つのエンディング
一年後
その日、明良の病室に毎日通い続けていた、鞠子の姿はなかった。
一縷の望みをかけて待ち続けたが、やはり明良が目覚める事はなかった。
鞠子は、今、『時の隠れ家』の前に、立って、ショウウインドウをじっと見つめていた。
中に飾られた大きな砂時計は、
その瞬間、キラリと金の砂を落とし、鞠子を迎えた。
扉が音もなく開き、呼子は声をかけた。
「もう一度、おやりになるんですね」
鞠子は、迷いのない笑顔を見せ、大きく頷いた。
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