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鞠子の前には砂時計が置かれ、白い砂は急速に金色へと変化を始めていた。
「あなたのように、逆流の記憶が消えない人がまれに現れます。明良さんは何も覚えていませんでした。」
「これで最後にします」
「また、一年後、明良さんがここに来たら?」
「私はいつも明良を助けたいと願いました。でも、この一年間、私は二人で生きたいと願ってきました。」
「そうですか、そうなるといいですね」
「信じたいです」
「ええ」
呼子はすっと目を細めると、微かに笑った。
高速で回転を始めた砂は、すでに黄金色に輝き溢れんばかりの光を放っていた。
「時が満ちました」
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