0人が本棚に入れています
本棚に追加
叫びたいほど心の中は執事さんで乱されてるのに、痺れた体では上手に言葉は紡げなくって。
そんなわたしを1人にするように、執事さんがわたしの手を離し、立ち上がった。
2人の距離が開くと同時に、なんだか急に涼しくなる。
さっき執事さんが語った『残念』っていう言葉が、脳裏に浮かぶ。
「次はありませんよ」
「えっ?」
「次。お嬢様の悪い癖が出たら、確認は致しません」
「そ、それは……」
悪いクセをしたくなるから逆効果よ!
咄嗟に抱いた感情が言葉になってもれそうで、あわてて右手を口にあてる。
その手を、さっきまで執事さんが握ってたことに気づいて……。
口から手が離せなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!