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執事さんが、わたしの右手を握りしめた。
「前々から、髪が傷むと何度も申しているのに。悪い手ですね」
さっきまで頭をかいていた、わたしの手を、執事さんが優しく包み込む。
その予想外の展開を茫然と見つめてると、手だけじゃなく体全体をギュっと包まれたような気がした。
執事さんの体温が伝わるように、右手から肩、胸元と順番に熱くなる。
そのことに気づいて……、一気に顔が火照りだした。
「お嬢様。お仕置きが必要ですか?」
「えっ?」
執事さんがひざまずき、わたしを見あげて質問する。
言葉は、ちゃんと耳に届いてるはずなのに、執事さんが何を言ってるのかサッパリ理解できない。
意味を求めるように執事さんの目を見つめると、小さく右手を引っ張られた。
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