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自分のことなのに知らなかった習慣を指摘されて、『執事くんに見られている』ってことを妙に意識してしまい……。
なんだか急に恥ずかしくなった。
もう一度、執事くんの視線から逃げるように顔を伏せる。
狭くなった視界のはしで、執事くんがわたしの後ろに立つのが見えた。
「ほら。頭をかいちゃうから、髪の毛がグチャグチャに絡まってますよ」
心配そうに話す声が、やけに近い。
そのことに気づくと同時に、執事くんが動く気配を感じ……。
優しく髪をなでられた。
予想外の出来事に、息をのむ。
むせそうになるのを、必死に我慢した。
「お嬢さま。しばらく、そのまま動かないでくださいね」
執事くんが明るく言いながら、絡まった髪を整えはじめる。
サラリサラリと解かれる髪とは対照的に、わたしの体はギュッと力が入って硬くなった。
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