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「……ときにお客様、今日はどのようなご用件で?」
熱心に樹海の惑星を眺める青年の背後から、老店主が問いかけた。
「えっ? そりゃあ、惑星ステイを選びに……」
おかしなことを聞く。青年は怪訝に思いながら、店主の方を振り返って答える。青年を見上げる老人の目が、眼鏡の奥で鈍く光った。
「そうですか……。それなら、初めての方ということで、また一通り説明しなければならんのでしょうなあ」
老店主は自分の顎からちょっと飛び出した三角の白いひげを指でつまみ、独り言のように呟いた。
コツン
その時、店主の背後で奇妙な音がしたので、二人はそちらに目を向けた。
いつの間にか卵形の軌道の上を近づいて来ていた硝子玉がそこには浮かんでいる。
「何の音ですか?」
青年が店主に尋ねた。
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