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「ああ……。あれはきっと、あの惑星の中で開発された宇宙船が、硝子の内側にぶつかった音でしょうな」
と店主。
「宇宙船? 折角お金を払って硝子玉の中に入ったのに、わざわざ出てこようとする人がいるんですか?」
青年は目を丸くして問うた。
「ええ。惑星の世界に入っている間、お客様は、『こちら』の世界の存在と、『こちら』での記憶をきれいさっぱり失う仕様になっておりますので……。
惑星の世界に長く住んでいるうちに、宇宙の正体を知りたいと思い始めてしまったお客様が、硝子の内側にぶつかることは珍しくありませんよ。
悲しいかな、『こちら』の世界からは完全に隔離された体験をお客様に提供するための惑星ステイの仕組みが、思わぬ結果を招いてしまっているわけです……」
淡々と答える店主。
「へえ……。因みにこの惑星の中では、人々は宇宙をどのようなものだと考えているのですか?」
「……この世界では、なぜか世界は巨大な亀の甲羅の上に乗っていると信じられています。面白いことに、惑星によってさまざまな宇宙観が生まれているのですよ」
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