甘くてザラザラした

お母さんは最近。
スーパーに行くたびに。
ゼリーのお菓子を買ってくる。
いろんな色をしていて。
果物の味がして。
表面にはザラザラした。
砂糖のつぶ。
歯を立ててかじると。
キラキラした。
ガラスみたいな断面。

「おいしいでしょ」

お母さんの好きなものは。
私も好きになった。

おいしかった。
友達にもあげた。
みんなおいしいって言った。
でも。
私の地元のスーパーにしかない。
だからお母さんは。
買い物に行くたびに。
何袋も買ってきた。

「おばあちゃんのとこに一袋。
職場にも一袋」

安いし。
見栄えもいいし。
お気に入りのお菓子だ。

私がいつまでも実家にいるから。
お母さんはいつまでも。
私にいろいろしてくれる。
私だって。
いつまでも家にはいられない。
料理の練習もしなきゃだし。
洗濯も掃除も。
自分のことは自分でできなきゃいけない。
きっとやろうと思えばできる。
手伝うし。
でも。
疲れて帰ってきた時に。
お母さんのご飯があるのが。
一番嬉しい。