クラトス(権力)とビア(暴力)

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  角度的に天空の擬似太陽の光も届きにくいが、 石灰でも溶け込んでいるのか、乳白色の流れが下流まで続いている。 崖の中腹には、露出した岩肌をくりぬいて、 天然の貯蔵庫なども作られているが、 それとは明確に性格を異にする洞穴がある。 ・・・まぁ、洞穴というよりは、竪穴式住居にイメージが近い。 言ってしまえばただの牢屋だ。 雨というものが存在せず、 強い風も吹き荒れることのないこの地底世界であるなら、 それほど生存環境としては厳しいものではないが、 村人も近づかないこの崖の下では、なかなか精神状態を健全に保つにも苦労するだろう。 どっちにしろ、 この牢にヘファイストスが、いつまで閉じ込められるのかも確定はしていない。 この先、王都ピュロスにまで連行されるかもしれないし、 この地でいつまでも閉じ込め続けられるかもしれないし、 まかり間違えば、最悪の事態を想定することも・・・。  
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