4人が本棚に入れています
本棚に追加
角度的に天空の擬似太陽の光も届きにくいが、
石灰でも溶け込んでいるのか、乳白色の流れが下流まで続いている。
崖の中腹には、露出した岩肌をくりぬいて、
天然の貯蔵庫なども作られているが、
それとは明確に性格を異にする洞穴がある。
・・・まぁ、洞穴というよりは、竪穴式住居にイメージが近い。
言ってしまえばただの牢屋だ。
雨というものが存在せず、
強い風も吹き荒れることのないこの地底世界であるなら、
それほど生存環境としては厳しいものではないが、
村人も近づかないこの崖の下では、なかなか精神状態を健全に保つにも苦労するだろう。
どっちにしろ、
この牢にヘファイストスが、いつまで閉じ込められるのかも確定はしていない。
この先、王都ピュロスにまで連行されるかもしれないし、
この地でいつまでも閉じ込め続けられるかもしれないし、
まかり間違えば、最悪の事態を想定することも・・・。
最初のコメントを投稿しよう!