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朝になった。
朝日が昇る・・・というシチュエーションが存在する地下世界ではないが、
擬似太陽が輝きを増すにつれ、気温が上がり始める。
それまでの冷たい空気が暖められて、辺りに霧が発生しているようだ。
ここに至るまで何回か見た現象である。
その霧の中を、何台もの馬車の一団が駆け抜けてゆく。
いわずと知れたスサの一団である。
ヘファイストスのテメノス、パキヤ村には、
彼や村人たちの手による馬車が何台も作られており、
それを牽く馬などの家畜も豊富だ。
そのヘファイストスを助けに行くというなら、村人たちは助力を惜しむはずもない。
もっとも、これらの馬車もいつまでも乗り続けているわけにもいかない。
目的地、ハデスのテメノスであるメタパは、
高低差の激しい丘陵地帯となっていて、
馬はともかく馬車が乗り入れられるのは大通りまでだ。
それでも、ここまで徒歩で行軍を続けていたスサにとってはありがたい。
特にカラダを酷使しているタケルにとってはなおさらだ。
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