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 普段学校の自販で缶コーヒーばかり飲んでいるので、はっきり言って別の飲み物である。  日野さんは日野さんで何だか恍惚とした表情でちびちびやっている様だった。  圭一さんはカウンターに肘をついて僕らのそんな様子を見ながら、昔を懐かしむような顔になる。 「――そうだねェ。その人に初めて会ったのは今くらいの季節でネ。丁度今の君達みたいに宗一郎と洋子クンが二人して並んで座っていて、僕が出した新作のブレンドを試飲して貰っている時に見掛けたのが最初だったんだヨ」 「……見掛けた?」 「……『会った』ではなく?」  僕らが聞き返すと圭一さんは苦笑する。 「最初はそりゃ勿論見掛けただけサ。綺麗な女性だったなァ。あの時の衝撃は今でも胸に残ってる」 「一目惚れ……って奴ですか」 「余計に興味湧いてきた」  ……日野さんのテンションが上がってちょっと鼻息が荒くなっている。  やっぱり女子はこの手の話に目が無いんだな。  「ここから見えるガラス越しにも、通りかかったその人の姿がパァっと視界に飛び込んで来てネ」 「そんな劇的な一目惚れってあるんですね」 「そりゃあもう、丁度あんな風に――」  通り側の窓ガラスの前を横切った女性を指して言うと、そのまま圭一さんの言葉が途中で止まった。 「……圭一さん?」     
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