シーソーゲーム

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 「驚くわよ、いきなり結婚だなんて。おめでとう美咲っ!」  「杏子はどうなの?」  「へ? わたしっ?」  美咲も久しぶりに会ったわたしの近況が気になるんだろう。 わたしは本乃商事でOLをしている。収入もそこそこでアパートにひとり暮し。恋人は昨日まではいたけれど、喧嘩別れしてそれきりだ。なので「今はひとりよ」と答えた。  「あんたが一人って信じられない」  美咲は目を丸くして驚いた。  「なんでよ?」  「高校の時、杏子すごくモテたじゃない。私、モテなかったから羨ましかったなぁ」  高校時代を思い出しながら、美咲はそう呟く。  確かに周りは男子が多かったけど、みんな友達って関係だったから、モテたと言う実感はわたしにはなかった。  「わたしに嫉妬してた?」  「あんたに? まさか!」  美咲は笑いながら否定する。  嫉妬されていたかと思ったけど、意外だった。いずれにせよ、当時がどうであれ、今がしあわせなんだからそれでいいじゃない。  余計なことを気にするべきじゃない。  そうとなると、美咲の旦那さんがどんな男性なのか気になる。  「ごめんごめん、そうよね。旦那さんってどんな人?」
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