第2章 夢の中

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  しかし体が思うように動かない。 お尻はまるで地面に張り付いたように立つこともできない。 火の手はだんだん広がっていく。 木の焼ける匂いに思わずむせかえる。 時折まばゆい光が筋をつくる。 大きな黒い影、それに人族のような影も見える。 それらが炎を従え迫ってくる。 『逃げなきゃ。逃げなきゃ!』 しかし足は地面に張り付いたまま。 「バウク!」 私は必死で叫んだ。 するとバウクが私の前に現れた。 私に向かって笑顔を見せるとそのまま炎を従えた大きな影に向かって言った。 「バウク!」 ダメ! 1人じゃ無理だよ。 私は手を伸ばすことしかできなかった。
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