第3章 誰のため?

8/10
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
  そんな只野を現実に引き留めているのは妻の存在だ。 彼女の温もりだけが乾いた只野の心に一時の潤いを与えてくれる。 それが無ければ只野は恐らくすでに甘言に身を投じていただろう。 妻にさえ本心を語ることができない只野。 しかし彼女の温もりだけが今の只野を現実に引き留めている。 只野の妻は無理に只野の心を覗こうとはしない。 只野はそれを知っているから、彼女の温もりに“安心感“を覚えるのだ。 『まだ死ねない!』 只野の折れた心は、必死でもがいている。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!