第3章 誰のため?

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  『“死“を選ぶか?』 『まだ死ねない!』 2つの言葉が只野を支配している。 マトモな思考ではない。 本能的な思考だ。 只野は自分を苦しめることで罪悪感から逃れようとしている。 自分を苦しめることで少し贖罪をしている気になるのだ。 勿論それはまやかしだ。 現実が変わるわけではない。 只野はそんなことは頭では理解している。 しかし感情が押さえられないのだ。 振り上げた拳を振り下ろす相手はいない。 振り上げた拳を持て余して、自分に振り下ろす。 その痛みが只野に贖罪をさせている気にさせるのだ。
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