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「こっちは一家離散の危機だと言うのに……。」
只野は天井に向けた手を見て呟いた。
「一体何なんだよ。」
“まほろば“の夢だけが他の悪夢とは違う。
妙にリアルなのだ。
五感で感じるその空気。
全てが本物の様に感じる。
一家離散の未来像しか想い描けない只野。
薄れゆく感情を“まほろば“だけがくい止めてくれている。
そんなことを思ってしまうのだった。
「僕にとっての“まほろば“って……。」
言いかけて苦笑した。
そんなことはどうでも良いことだ。
肝心なのは“今“をどうするかだ。
只野は再び目を閉じた。
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