第1章 殻

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  もうどのくらい歩いただろう。 体を焼かれながら、砂に足を取られながら、それでも只野は歩き続けた。 オアシスは遙か遠くに見えている。 突然只野の視界が暗転した。 「只野~。」 聞き覚えのある声だ。 只野を苦しめ続ける元上司の……。 只野の全身から一気にいやな汗が吹き出す。 いつの間にか足場は焼けた砂ではなく黒いコールタールのようなモノに変わっていた。 「只野~。」 さっきより声が近い。 只野は恐る恐る振り返る。
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