大逃亡

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俺の意思は伝えた。 今度は、月山薫の番だ。 「あんたは?」 「俺?」 月山薫は、得意気にニヤリと笑う。 「日本を発った時点で、とっくに腹は決めて来てんだよ。舐めんな、馬鹿ザル」 その言葉に、胸が震えた。 ジワジワと満たされて、心が打ち震える。 「これから先、お前の人生、全部、俺が貰い受けてやる。何があろうが、何をされようが、お前は堂々としてろ。全部、俺が引き受ける。だから、絶対に俯いたりすんな」 涙で滲んで、視界がボヤけるのを、コートの袖で拭い取った。 「そんでもって、これから先の俺の人生、全部、お前にくれてやる。言っとくが、返品不可だから覚えておけ」 あーーーっ!!もう!! これ以上、泣いてる姿なんて見せたくないってのに。 せっかく拭いたのに、また涙が溢れて、ポロポロと零れ落ちていく。 「よく泣く奴だな。そのうち、干からびて、干しザルでも出来上がるんじゃねえか?」 笑いながらからかわれて、涙目で奴を睨んだ。 余裕そうな、その顔がムカつく!! 「うっさいな!あんたが、そういう事…!」 いつものように、抗議しようとした時だった。 手首を掴まれ、グイッと引き寄せられる。
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