大逃亡

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そう言った俺に、月山薫は「分かった」、とだけ答えた。 「それじゃ、次は、お前の番だ」 「へ?」 突然、そう言われても、何の番なのか分からない俺は、何とも間抜けな声を出してしまった。 「質問。俺に聞きたい事、ないのかよ?」 聞きたい事……。 そんなの、沢山あるに決まってる。 でも、一番聞きたい事は。 俺が、一番、知りたいのは……。 「あんた…俺の事、どう思ってんの?」 それが、知りたかった。 聞きたいけど、聞きたくない事。 でも、それを聞かない限り、前にも後にも動けない。 胸の鼓動が、耳に煩いほど鳴り響く。 緊張で、ゴクリと唾を飲み込んだ。 緊張や不安、色んな感情が混ざって、そんな思いが顔に出ていたのかもしれない。 俺の顔を見た月山薫が、フッと小さく笑って、人差し指で、俺の眉間のシワを突つく。 「ひっでぇ顔」 「な…!人が真剣に…!」 「好きだよ」 ………へ? 月山薫の答えが唐突すぎて、頭の中が真っ白になる。 スキダヨ? え? すきだよって言った? 月山薫が? 俺を? 好きだよ?
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