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*現実…・1*
今日!
今日という日は、俺にとって重要かつ特別な日だった。
何故なら、あの月山薫に会える事になっていたからだ。
なっていた……。
そう、過去形……。
講義終了と同時に廊下に飛び出し、すれ違う講師に怒鳴られながらも全力疾走で大学を出た俺は、そのまま力の限り走って駅に向かい、その勢いで電車に飛び乗った。
間に合う!
はずだった……。
約束の二十分前には、余裕で到着する予定だった。
人身事故さえなければ……。
そして、今現在。
約束の時間から、既に二時間が経過している。
どんな罰だ。
朝からウキウキ気分でソワソワしてた自分が、今では馬鹿としか思えない。
電車に閉じ込められ、降りる事も出来ず、怒りと最高潮の苛立ちにガタガタと身体が震えた俺は、解放された時には、あまりの大遅刻に魂がエクトプラズムを起こしたように無気力になった。
終わった……。
いくら何でも、この大遅刻はないだろう。
会いたいと言われて、無理矢理スケジュールを作った挙句、二時間も待たされたら、誰だって、もう二度とそんな奴とは会いたくないに決まってる。
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