47人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
俺の幼馴染みは、中々の鈍さだ。
ここまで鈍いとそろそろこっちも我慢比べに本腰を入れたくもなる。
「佐竹先輩って優しいんだよ」
それをわざわざ俺に報告するか?
男なんてな、大抵が好きだからとか好きになって欲しいからとか、大抵そんな下心が無きゃ優しくしないもんなんだよ。
しかも、それがあの佐竹さんだろ?
俺の部活の先輩の。
普段滅茶苦茶怖いんだからな、あの人。
それが優しいって……何だよ、それ。
お前だって、少しは嫉妬してみろよ。
だから、俺になついてきた一年のマネージャーに笑顔で返す場面を見せ付けてやった。
階段を降りたばかりの幼馴染みの視線を気付かないふりして後輩の頭を撫でている俺をもっとよく見ろ。
嫉妬して欲しいのに、嫉妬してるのはいつも俺の方。
嫉妬の焔でこの身が焼け尽くされる前に、俺の気持ちに早く気付け、あほ。
了
最初のコメントを投稿しよう!