第12章

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思ってもみなかった変化は居心地が悪いばかりでもないけれど、率直に言ってとても疲れる。 「まさか本当に、ご両親にご挨拶しに行くことになるとは…」 『やっぱり亮さん、オレが親に言うはずないって思っていたね?』 「いつかは、とは思っていたけど、まさか交際始めて四日後に報告されるとは思わなかった」 『親に言ったのは初日だよ。ほんと、自分でもびっくりした』 屈託なく笑う声はどこまでも楽しそうで、亮もまぁいいか、という気分になった。 今までずっと、裕幸にとって生きていくことは苦しいことが多かったはずで、少しくらい甘やかしてくれるおとながそばにいることは、きっとそう悪いことじゃない。 特に彼は見せかけているほど単純じゃなくて、傷ついても苦しんでも、明るい笑顔の下に隠してしまうから。 「今度、ご両親にご都合の良い日訊いてくれる?」 『分かった。大安がいいよね』 「……君何か違うこと想定してない?」 浮かれた様子の裕幸に脱力しつつ、通話を終える。 年若い恋人との会話に大いに消耗したが、最後に耳に触れた笑い声は、容易く亮を穏やかな気持ちにした。
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