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「ぱっと見お前、しらっとしてて冷静な大人みたくに見えるけど、ほんとは感情の発露がちょいと乏しいだけの朴念仁だもんな。その凄腕イケメンから逃げ切れる気がしねぇから、もう諦めて付き合っちゃえよ」
他人事だと思って戸田は無責任なことを言ってくる。
でも実際、この時点で突っぱねることが出来ないことが、すでにある意味負けを認めているのかもしれない。
けれどー…、
「僕が受け入れることで、あの子がほんとのゲイのひとみたいになっちゃうのが耐えられない」
「お前……みたいのも何も、すでにそいつに迫られてるんじゃねーの?」
「止めて迫るとか言わないで裕幸くんが汚れる」
この期に及んで亮は保護者目線で戸田を詰ってきた。それもちょっと歪んで相当親バカ風の。
「お前同性愛に理解ないタイプだっけ?」
「他の人なら個人の自由だと思うんだけど、裕幸くんは嫌なんだ」
過干渉気味の母親そのものなセリフを言い放つ亮に、戸田はめまいを感じた。
こいつらの関係性のこじれっぷりがすごすぎる。
戸田は乾いた笑みを浮かべて、亮に向き直った。
「亮」
「うん」
「今日、やっぱ俺おごるわ…」
「……ありがとう」
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