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「それから、これは僕から」
左手に提げていた紙袋を差し出すと、裕幸はあからさまに動揺した。
息を飲んで、紙袋を見据えている。
「……亮さんから?」
「クリスマスプレゼント」
「……………」
裕幸は声もなく、おずおずと手を伸ばして受け取った。ぎこちなく持ち手を握り締めたまましばらく固まっている。
…出来れば、松本からのプレゼントのように、気軽に受け取って欲しかったのだが。
「迷惑だった?」
「!まさか!その、大切にします!」
「せめて中身見てから言ってよ」
「っすみません」
指摘すると裕幸は、見ている亮が居たたまれなくなるほどていねいにラッピングを外していく。
現れた手袋を抱きしめ、白い歯を見せて嬉しそうに笑った。
「本当にありがとう」
あんまりにも気持ちをこめて言われると、罪の意識に胸を締め付けられた。
何せ選んだのは見ず知らずの店員だ。
その手袋には、松本が贈ったプレゼントと同程度の意味しかないと、裕幸にだって分かっているはずなのに。
「すみません、オレ何にも用意してなくて」
「要らないよ。ほんとに、ちょっと気が向いただけだから。それより、そろそろ勉強しよう。どこまで進めた?」
ふわふわした甘ったるい空気がいたたまれず、無理やり話を逸らし、裕幸を学習机に向かわせる。
裕幸は何か言いたそうにしていたが、亮の必死な様子を酌んでくれ、それ以上何も言わずにノートを広げた。
「…………」
先日受けてきた模試の結果を確認し、不得手な単元の対策を再確認した後。
エアコンから出てくるやさしい暖気に包まれていると、冷え切っていたからだが少しずつ温まってくる。
問題を解く裕幸の横で、少しウトウトしてしまったらしい。
目の前に影が落ちた気がしてまぶたを開けると、思いがけない近さに裕幸の顔があった。
「っ、」
「あ、ごめん。僕ちょっと寝てた?」
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