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『キュートって。それだけじゃない。さっきから、ユヅル、ユヅルと馴れ馴れしく月見里さんのことを呼び過ぎだ』 『じゃあ、サクライだって呼べばいいじゃないか。なあ、ユヅル?』  二人の子供のような言い争いに優弦はおどおどと止めに入る。 『あの……、私は別にユヅルと呼ばれてもまったく構わないので……』  タクシーを停めてある立体駐車場へと向かう道すがら、背の高い男二人は優弦を間に挟んで道行く人が振り返るのも構わずに言葉の応酬をしている。頭の上を飛び交う早口の英語がまるで漫才のように聞こえてきて、優弦は思わず笑みを漏らした。
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