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「え、あ、ああっとはい! よろしくお願いいたします」
「……レジ打ちと、掃除の仕方から教えるから」
誰かに指導するタイプではないので、調子を狂わされるもののそう言ってサロン内を案内した。
「おい、千里、電話」
「は、はい!」
「千里、飲み物まだか?」
「はっただいまっ」
小さいと不便なのか、人よりも何倍も動き回らないとついてこれないらしい。要領もそうよさそうではなく、常に驚き常に走り回っている。
指導中に名前を呼んだだけで耳まで真っ赤になられてそれだけは首を傾げる。
「ちょっとぉ、いきなり下の名前なんて馴れ馴れしいわよ」
「流星ってば、美人系より可愛い子がタイプなのねえ」
「ああ? 高宮って呼ぶより下の名前の方が短いから呼びやすいんだよ。名前ぐらいどうでもいいだろ」
「いえ……。私、飯田さんに指導していただけて、本当に嬉しいです!」
店長たちにからかわれ面倒臭そうに避けようとしたいたが千里の方が真剣に答えて反応してしまっている。そんな真面目な応答にスタッフの一人がにやりと笑う。
「そう? でもいじめられたら言ってね。二九歳にもなって後輩と一緒に住んでるぐらい甲斐性がない人ですよぉ? 女の子の気持ちに敏感なはずないですよ」
「お前も馬鹿にしてんのかよ」
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