401人が本棚に入れています
本棚に追加
*
二十時を過ぎ、片付けや戸締りをした後、互いに挨拶を交わし家の方角へ皆帰っていく。
「ほら、ちゃんと送って帰るのよ」
「うっせーな。オカマのくせに」
店長に千里を送っていくように頼まれた流星は小さく舌打ちする。するとビビった千里が後ずさった。別に食べやしない。店長の考えていることも透けて見えてくるので、期待するようなことは絶対するつもりはない。
「おい、言っとくが駅までだ」
「は、はい」
「俺のベンツ、乗ってみるか?」
ポンポンと自転車の後ろを叩くと、千里はホッとしたように笑いながら首を振る。
「二人乗りは法律で禁止されてるんですよー」
「は? まじで」
そうだったっけ?と首を傾げる流星に、千里は笑う。
「なんか流星さんって癒し系ですよね」
「まじかよ。煽てても研修は優しくしねえぞ」
「くぷぷぷ。もちろんです。でも、家に帰っても流星さんがいるって、恋人さんが羨ましいですね」
「……恋人だって言ったっけ」
最初のコメントを投稿しよう!