二、

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 自転車を押しながら駅まで向かう。するとつまらないそんな言葉に心が揺さぶられた。 仕事場では店長しかしらない情報だ。さっきだって後輩と一緒に住んでいるとからかわれたぐらい。 「だって必死に隠しているように見えたので」 「……どうだか。お互い惰性で一緒に住んでるようなもんだ」 「お付き合いが長いってことですか?」 「それもあるけど、互いに負い目とか罪滅ぼしっていうか、後ろめたさ?」  溺愛って言葉がぴったりなぐらい、俊也は流星を甘やかし甘えてくる。だがそれが、流星は過去の負い目を忘れるためのわざとらしい儀式の様で好きではなかった。 「あんたみたいに素直で可愛ければ、もうちょっと甘酸っぱい青春みたいな恋愛ができたんだろうが」  自分たちは所詮蝶のように、ひらひらと本音から逃げ回りゲームのようにお互いの気持ちを騙している。 「そ、そんなことありません! 流星さんは素敵な人です! わ、私、流星さんがいるのでここに就職決めたんです」 「は?」 「あの、中学三年生の時に、私、ここら辺で駅の乗り換えを間違えて時間潰してたんです。そうしたら、不良っぽい高校生に絡まれて、お財布渡して逃げようって思ってて。そうしたら綺麗な男の人が、ひらひらーってフェンスから飛び降りてきて、ババババって不良を三人やっつけちゃって」 「何それ。本当に俺?」
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