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全く記憶がない流星は眉をしかめるが、千里はぶんぶんと頭を縦に振る。
「もちろんです! 覚えてます。忘れません。それにここら辺で一番強いって有名な人でしたから」
「ふうん。昔は馬鹿してたから、ムカつく奴殴ってただけだし記憶ないね」
「昔悪かった自慢って普通うんざりするんですけど、流星さんは格好いいですね」
「自慢じゃねえよ」
頬を抓ると、千里は屈託なく笑った。年相応の、純粋無垢でハムスターの様な女の子。
仕事中に感じる視線の理由はこれだったのか。女と付き合ったことがある流星にはこの視線の理由冴え分かれば、納得できる。
「流星さんは蝶みたく格好良くて綺麗で、仕事だってわかってるのについドキドキしてしまって情けないです」
「……仕事は仕事で分けろよ」
くしゃくしゃと髪を撫でた。自分より下にある頭を撫でるのは新鮮で、なぜか胸が熱くなる。変な気分になってすぐに手を離して、駅を顎で示す。
「明日は、朝どうすんの」
「早めに行きます!」
「じゃあ俺も指導担当だし早めに行く」
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