一、

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「背後から肩を掴むな。お前、ただでさえ大きいんだから、止めろって」 「いってらっしゃいのキスを忘れてたから、ごめんなさい」  もう一度謝まられなんだか此方が悪い気がしてきて気分が悪い。 「いい。それに、いってきますのキスとか気持ち悪い。馬鹿じゃねえの」 「いつもしてんじゃん」 「うるせえ。行ってくる。遅刻すんなよ」  玄関を開けて急いで締めて逃げ出すと、大きく溜息を吐いた。  そしてまだ震えている自分の手や肩を見て、深く唇を噛みしめる。
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