六、

8/8
前へ
/95ページ
次へ
  *  夢を見た。 『待って下さい。どこに行くんですか』    母親の病室で、勉強をしている俊也が、必死で流星の名を呼ぶ。 『待ってやるから、とっとと行こうぜ』  勉強道具を放りださせ、手を繋いで部屋を出て行く。 その瞬間の嬉しそうな俊也の顔を見て、自分たちは遠回りをしたのだと気付いた。 さっさとこうやって一緒に連れて行ってやればよかったと。ゲームだと、言い訳して逃げ出したのはただの自分の弱さだった。 *
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

401人が本棚に入れています
本棚に追加