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でも、ドン引きはしてるけど嬉しいんだ。
だって、ブルータスは私を見つけ出してくれた。必然だった、運命だったという言葉で片付けてしまうのは簡単だけど、私を見つけるために、想像を絶するような苦労をしてきてくれたのが何となく分かるから。
精神的に辛いこともあったはず。永遠のように長い時間の、全ての記憶があるってどんな感じなんだろう。私には計り知れないことだ。
ブルータスは、私のために今ここにいる。
それがこんなにも嬉しいなんて。
頭を整理している私を、ブルータスは黙って見つめていた。そんなブルータスの穏やかな顔に、私は片手で触れてみる。ブルータスはぴくっと反応して、私の手の上に自分の手を重ねた。
「愛してるぞ、カナ」
心の底からそう思っているのが伝わってきて、私はにやけてしまう顔をどうすることもできなかった。
「私も……たぶん同じ気持ち」
少しおどけてそう返すと、ブルータスは濃くてしっかりとした眉を八の字にする。その情けない表情にふふっという笑い声が思わずこぼれてしまった。
きっと、これからどんどんこのあったかい気持ちは大きく育っていくんだろうな。
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