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ブルータスの下肢を恐る恐る覗くと、先程ブラブラしていた柔らかそうなソレとはまるで違う、凶器のように反り返った赤黒い何かが、私の制服に擦り付けられていた。
「君の服を、脱がせてもいいかな? これはどうなっているんだ」
いくらでも拒否できたのに。きっと本気で嫌だと言えば離してくれそうなのに、そうしないのは、私がこの先を期待してしまっているからだ。
思えば高校三年間、全く男っ気のない生活だった。クラスの女の子たちが彼氏の話で盛り上がるのを横目で見ながら、自分はひたすら真面目に絵を描き続ける日々。自分が掲げた目標の為だから、仕方ないけれど。彼氏ができてどんどん可愛くなっていく友人たちが羨ましくないと言ったら嘘になる。
目の前には彫刻さながらの逞しい男性が、何故か処女の自分を求めているのだ。性的な興味はそれなりにあったし、ここだけの話、自慰だって時折してる。ブルータスのアレを目にして、俄然興味が湧いた自分に嘘はつけない。
こんな芸術的な体躯を持つ男性と体験できることなんて、今後ないかもしれないし、このチャンスを逃したらずっと男性と触れ合う機会もないだろう。この機会に男性の色々を見て経験したら、もしかしたら受験にも役立つかも。
そんな風に自分を無理矢理納得させて、私は覚悟を決めた。
「これは、こうやって外すの」
「ほう。成る程」
ブルータスの大きな手が私の首元にあるリボンにかかる。外し方に戸惑う様が、何故か可愛らしく見えた。この毛むくじゃらの奥にある顔が見てみたいな、そんな風に思う自分に驚く。
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