前編

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 ちゅっと音をたてて唇を離したかと思うと、再び角度を変えて舌を差し込んでくる。私は全身に快感が駆け巡るのを認めなくてはならなかった。 ――きっと、この(ひと)、凄く上手いんだ。  キスだけなのに、私の身体からは一気に力が抜けてしまっていた。ゾクゾクと背筋が粟立ち、私は知らず知らずのうちにブルータスの太い腕に爪を立てていた。  その刺激に、ブルータスは身体をビクリと小さく震わせる。唇を離して、きっと涙目になっている私の瞳を覗き込んできた。 「君は……本当に美しい。その潤んだ瞳は、まるで月夜に輝く星々のように艶やかで、真っ直ぐなその絹糸のような黒髪は、私を悪戯にくすぐる夜の風のようだ。そしてしっとりと吸い付くような白い肌は真珠のようで、私を……昂らせる」  どんなキザ野郎だ!と突っ込みたかったけれど、ブルータスの太い脚の間にある硬くてしめった何かが私の制服のスカートを押し上げてくるのに気づいて、私はひっと息を飲んだ。  ブルータスは息を乱しながら、私の?をそのごつい手で撫でる。 「久しぶり過ぎて、コントロールが効かないぞ」
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