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下卑た台詞を吐き出した刑事と、もう一人は床の死体に背を向ける。
彼らは気がつかないだろう。
・・・ 自身に起こったことが何であれ、死に顔に理不尽感と、超絶の驚愕をも刻み込んでいるように見える『犠牲者』。
その喉に食い込んだ『右手の指』は、まだ動いていた。本当に僅かに。芋虫のように。
ごきり
めしっ。めり。
・・・・・・・・・・・・めりめりめりッ
何かが、さらに潰され、砕ける音がーー喉の奥からかすかに、だがはっきりと響いてくるのだ。
まだだ。
まだ殺したりない。
怒り。恨み。そうしてーー積もり積もった『嫉妬』。
それは、この程度で晴れはしない。
その根深さを、文字通り『体現』するかのように・・・。
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