とある未解決事件

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とある未解決事件

 署に戻った三間は、未解決事件の箱をひっくり返した。そして、調書や写真を見返していた。 『○×市女子短大生殺人事件』  19××年、市内某短大に通う君塚美也が殺された。凶器はなく、目撃情報もない。建物と建物の間にひっそりと倒れていた為、発見が遅れてしまった。  彼女ははつらつとした性格で友人も多く、可愛い系の美人だったこともあって男にもてた。短大一年、その間だけでも数人の男に声をかけられている。また、バイト先でも同じような事があった。  当初警察は交際のもつれによる殺人として、彼女に声をかけていた男達を中心に事情聴取を行った。だが、何かとアリバイがあって捜査は行き詰まった。  更に容疑者の範囲を広げたが、それでも犯人には辿り着かなかった。  それというのも、使用された武器が特殊だった。旧日本軍が使っていた軍刀だと分かったのだ。  武器の線から辿ってみたが、そうした物を持っている人間が限られ、彼女に接触した疑いのある人間と武器を持っている人物が被らない。しかも軍刀は戦争の混乱の中で消えた物が多く、所持していても届け出がされない場合がある。人によってはある事すらも知らない人間がいる。  結局事件は決め手にかけて未解決のままに過ぎてしまった。
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