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三間は調書を机に投げた。この事件が起こった頃、三間は駆け出しの刑事だった。ケツの青い甘っちょろい奴だ。そしてこれが、三間が初めて出会った未解決事件だった。
「あっ、いたいた! 三間さんこんな所にいたんですか」
「おう」
現場に一緒にいた新人が、手に箱をもって降りてきた。両手に抱えたその箱の中には、あの場に散乱していた物がとりあえず入っていた。
「いや、何か凄い現場で…まだちゃんと片付いてないんですけどね。とりあえず、散らばっていた写真と壁の原稿用紙だけ持ってきました」
「ご苦労さん」
三間が箱の中を漁ると、写真だけで十数センチありそうだった。
その写真を分けながら机の上に広げていく。
写真は明らかに隠し撮りだろう。若い女性が七人、男も三人はいた。合計十人。その全員が生前の写真と死後の写真があった。
「仏の身元、分かったか?」
「えぇ。辻崎幸二、六五歳。現在無職ですが、前職はとある脚本家のアシスタントをしていたみたいです」
「とある脚本家?」
「亜久津礼子。昼ドラの女王って言われて、一時期人気があったらしいっすよ」
「ふーん」
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